最近は、便利なツールが増えて、誰でも気軽にデザインを楽しめるようになりました。
テンプレートを選んで、写真や文字を入れ替える。それだけでも、見栄えのするものが作れる。私自身、「これくらいなら自分で作ればいいな」と思うこともあります。
ただ、そうやって簡単にデザインできるようになった一方で、
「簡単にデザインができる=簡単にデザインの仕事ができる」という空気には、少し引っかかるところがあります。
たぶん、私が「デザインの仕事」だと思っていることが、「作ること」だけではないからなのだと思います。
誰かから依頼を受けたら、まずお話を聞く。
何をしたいのか、何を伝えたいのか。今あるものの中で、何を残して、何を変えたらいいのか。そこを一緒に整理して、方向を決めていく。
その先に、ようやくデザインがある。
だから、デザインは「カタチにする作業」だけではありません。むしろ、カタチになる前の時間に、大切な仕事がたくさん詰まっています。
もちろん、仕事のサイズを小さくすることはできます。
全部をお願いするのではなく、必要なところだけ頼む。今の自分に必要な分だけつくる。私自身も、今はそういう「一口サイズ」の仕事がいいと思っています。
でも、仕事を小さくすることと、考えることまで小さくすることは、別の話です。
一口サイズでも、話を聞く。考える。その人に合う形を探す。そこは、ちゃんとやりたい。
道具が便利になって、デザインを始めるハードルが下がったことは、すごくいいことです。だからこそ、デザインの仕事には、ツールを使って作ること以外にも、こういう時間があるんだよと伝えておきたい。
小さくてもいい。
気軽でもいい。
でも、その中にちゃんと考える時間がある。
私は、そんなデザインの仕事をしていきたいと思っています。

